ブリーム(クロダイ・キビレ)ゲームがスタートしてから、10年を超える月日が流れた。トップからボトムまで、そして巻きモノから止めて誘うモノまで、ルアーの種類も多種多様だ。しかし…、ブリームゲームのパイオニア、嶋田仁正氏は疑問を投げかける。
「たしかに一般的なモノはほぼ出そろった感はあります。でも、すべてのフィールド、シチュエーションで、すべてのル アーが使えるか?と言えばそうではない。使いにくいものが多いし、使えたとしてももっと使いやすくできないか、という気持ちがずっとあった。そんな思いか ら生まれたのがネガカリノタテ、ブリームキャッチャーなんです」
ブリームゲーム、なかでもボトム狙いの釣りでは、比較的根掛かりの少ない、砂、泥といった海底のポイントを中心に、 甲殻類、貝類を食べていると想定されるブリームを釣ることが基本とされてきた。使用するのはボトムをノック、もしくは転がすルアーがほとんどで、根掛かり が少ないフィールドでなければ成立しにくかったのが現実だ。
アマモ、アオサなどの水生植物がボトムに繁茂するポイントは、有望と目されながらも攻めにく かった。従来のシンカー+ワーム、いわゆる「Sリグ」では根掛かりが多発したのだ。ハリがむき出しで重いルアーでは根掛かりばかりで釣りにならない。オフ セットフックを使う? これではフッキングが難しかった。
「ネガカリノタテの発想のスタートは管釣用のボトム狙いのスプーンです。要は前に進むものがあって、後ろにフックがあ る形状。加えてハリとウエイトの部分が分離していないとダメ。ブリームの場合はショートバイトが多く、ワームが固定されているとフッキングしづらいから。 それに、フックは消耗の激しいパーツ。交換できたほうが財布にも優しいでしょ?」
小型ハイフロート設計の「ブリームキャッチャー」をセットすることにより、フックがしっかりボトムで立ち上がり、根掛かり回避性能、フッキング性能ともに向上。わずかな水流でもゆらめき、アピールする、真の「使える」ルアーが誕生したのだ。
「水生植物があるところを攻めることができれば、単純に釣り場が2倍に増える。釣果が2倍になるかは分からないですけどね(笑)」
ブリームフィールドを拡げた!これこそが「ネガカリノタテ+ブリームキャッチャー」の、最も革新的な点といえるだろう。
「ネガカリノタテ+ブリームキャッチャー」を使った釣りを「静」の釣りとするならば、ボトムをノックしながら動かし 続ける、たとえば「bms.」を使った釣りは「動」の釣りと定義できよう。こうしたゲームスタイルはブリームゲームの原点であり、加えてポッパーを使って 表層を釣るスタイルも、従来から親しまれてきた「動」の釣りのひとつだ。2015年、このスタイルを進化させるべく誕生したのが、「ライズポップ65F」 だ。
「ブレニアスのラインナップにポッパーがなかった。これが誕生の最大の理由です。でも、普通のポッパーとは違いますよ。直進性と安定したアクションがキーとなるブリームゲームに特化し、新機構『バブルチャンバー』を搭載した専用ポッパー。飛距離も期待できます」
ポッパーゲームのシーズンは短い。しかし、リアクションバイトを誘発する、独特のゲーム性はこの釣りならではの魅力に溢れている。専用ポッパーは「埋めるべきピース」のひとつなのだ。ブリーム専用ブランドであるブレニアスならではの布陣は充実の一途をたどっている。
瀬戸内海を発信源にスタートしたブリームゲームだが、そのフィールドの拡大も見逃せない。
「東京湾などはもちろんですが、最近気になっているのは宮崎、熊本といった南九州の各フィールド。釣果も上がっているようなので、挑戦してみたいですね」
より身近になりつつあるブリームゲーム。この愉しさ、見逃す手はない。
「根掛かりが怖くて攻めきれない!」ネガカリノタテはボトム攻略に付きもののこのジレンマの克 服を目的としてフックをガードするシールド形状のヘッドを採用。ラバースカートは、ボリューム&カラーセッティングにこだわり抜いた。新登場の13g、 16gはタテヨコサイズは変えずにボディに厚みを加えて違和感なくウェイト増を実現。装着するブリームキャッチャーは比重0.9の生分解エラストマーボ ディの採用で水中でフックをしっかり立てるハイフロート設計。ショートバイトにこそ真価を発揮する小型ハイアピールワームだ。
ボトム狙いのブリームゲーム、その新たなスタンダードを打ち立てた「ネガカリノタテ+ブリームキャッチャー」。提唱者である嶋田氏による基本的な使用法を紹介していこう。
「前提となるフィールドは汽水域ということ。河川、サーフ、干潟の根掛かりの少ない砂泥底といった、通常のフィールドはもちろん釣れます。でも、ぜひ試し
てもらいたいのが、ほかのルアーでは厳しいアマモやアオサが海底に生えているところ。水深は深くとも3m。ベストは1m以内のシャローエリアですね」
以上のポイントを押えれば、ネガカリノタテ+ブリームキャッチャーを使用しての釣りは、周年楽しむことができる。
「キャスト後、底を取ったら、ボトムから離さないように気をつけてズル引きとステイを繰り返す、これだけです。何通りもの複雑なパターンはない。経験から導いた王道パターン1本です」
経験から導かれた王道パターンを繰り返す。とはいえ嶋田氏はいつも同じ動作をしているわけではない。ズル引きの距離は基本的に一定しているが、ステイ、いわゆる「間」の長さは常に試行錯誤を繰り返し、ブリームからの反応を探っているのだ。
「大事なことは必ず止める、ということ。止める時間は1~5秒が目安。長すぎてもダメ、短すぎてもダメ。そのときどきにベストな時間というのがあります。ブリームとのあうんの呼吸なんです」
ブリームは好奇心旺盛な魚で、長い距離ルアーを追ってくる。フッキングせず、見切らなければ何度でもアタックしてくる。それだけにステイするのは短時間か
ら長時間へと移行していくのが基本。見切られたら、そのブリームとの攻防は終了、と心得ておく。ステイの時にシェイクを加えることもある。
「アクションさせなくてもワームの部分は動いているんですから、本当は動かさなくてもいい。でも、釣り人だから動かしてしまう(笑)。シェイクを入れると、いい反応が得られることもあるし。試してみるのもいいと思いますよ」
嶋田流ズル引きはロッドをゆっくり立てるようにするのがポイント
5, 7, 10gとアイテムを揃えていたネガカリノタテ。2015年、新たに13, 16gが加わった。嶋田氏はどのように使い分けているのだろう?
「可能な限り軽いものを使うのが基本ですが、主に潮の干満による変化、たとえば流れが速くなった、水深が深くなったなどの条件でボトムが取りにくいと感じたとき、飛距離がほしいときなどに、より重いものにチェンジしていきます」
攻略可能な条件が拡がった「ネガカリノタテ+ブリームキャッチャー」を使用したボトムゲーム。冬場の低活性のブリームさえ喰わせてしまうファイナルウェポ
ンだけに、使いこなせれば、いつでもどこでもブリームゲームを楽しめる。マスターピースのひとつ、と心得るべし!
ネガカリノタテ+ブリームキャッチャーを使った釣りでは、カラーチェンジに複数の要素が存在する。ラバースカート、ブリームキャッチャーについては、意識的にカラーをチェンジしていく。
水が澄んでいたら…
オレンジ系やグリーン系
濁っていたら…
黒、赤、チャート系
活性が低い
07T チャート
グローラメ
ナチュラルカラーに手を伸ばしやすいが、意外にチャートなどアピールカラーが効果的。
活性が高い (6月, 7月の最盛期)
04T ラメラメオリーブ 08T ダークグリーン
茶系、グリーン系
ポッパーは多くのターゲットに有効なトップウォータープラグのひとつ。ブリームに照準を合わせたポッパーも数多く存在するが、ただサイズが小さい、というだけのものが多いのも現実だ。
「ブリーム用のポッパー自体は以前から存在するベーシックなルアー。そのなかで、ライズポップの大きな特徴は直進性に 優れていること。加えて安定したアクションを出すことができる、ということです。新機構の『バブルチャンバー』と大口径カップが、直進性とアクションの安 定性の2つを高めることに成功しています」
なぜ直進性と安定性が重要なのか?まずは直進性について掘り下げよう。
ブリームは、たとえばブラックバスやシーバスなどと違い、大きな口で吸い込むようなバイトをする魚ではない。小さな口でついばむようにバイトする。ミスバイトが多い魚なのだ。
「ブリームの場合、ポッパーは前へ前へと動かすことが大事。左右へとドッグウォークさせるとミスバイトが多くなってしまう。何回もバイトしてくるのが特徴だけど捕食は下手。チャンスを与えてあげるようなイメージが大切です」
ピンスポットを狙い撃つ釣りではない。広範囲をリズミカルに規則正しく探るのが基本。そのため安定したポップ音と飛沫を出し続ける安定性が重要になるのだ。
長い距離を引き続けるためには飛距離が必要だ。テールに向けて絞り込まれたボディシェイプ、65㎜というサイズは、ブリーム用ポッパーとしての十分な飛距
離確保を考慮したものだ。すべてブリームの特性を前提にした、専用ポッパーならではの性能だ。
さらに新搭載のバブルチャンバーはアピール度アップにも貢献している。
「バブルチャンバーは水を取りこんで、ヘッドから細かい飛沫を出す。これによりルアーを動かすと前と上に飛沫が出て、よりアピールするデザインになっている。左右に飛沫が出るとバイトするポイントがボヤけますからね」
満を持して登場するブリーム専用ポッパー。専用設計ならではの完成度の高さが、ライズポップの武器でもある。
ライズポップの使用法について、より具体的に紹介していこう。
「シーズンは6月から8月いっぱいが目安。汽水域を狙うのが大前提です。河川、干潟、サーフなどのオープンウォーターのシャローエリアが中心で、近くに藻
場やカキ瀬など、ブリームが定位するところがあるのが理想ですね。ストラクチャーにはこだわらなくていいと思いますよ」
大河川より小河川、河川内なら上流より下流、というのもキーワードだ。さらに最も注目したいのは「馬の背」という。馬の背のトップやキワなどがホットスポットとなる。
「水深は2mより浅いところ。50㎝あれば十分です。背ビレを出して追いかけてくるようなシャローでの釣りは興奮しますよ」
アクションパターンのキモは一回のアクションで移動距離をなるべく短くする、ということ。なるべくその場で動かすことを心掛け、ロッドティップの移動幅は
10~20㎝を目安にする。ブリームは、ポッパーが魅惑的な動きをしている限り、ずっとついてくる魚。それだけに短い距離で何度もアクションさせたほうが
効果的なのだ。
「繰り返しますが、ブリームは追尾型。口も小さいのでドッグウォークさせるとノリづらくなる。直線的なアクションがキモですよ」
最後にPEラインが主流の現在のポッピングシーンについての注意点も紹介しておこう。
「PEを使うと動きが大きくなりがち。軽めのアクションで規則正しく動かすのはもちろん、軟らかめのロッドを選ぶのも安定した動きを出すための方法としておすすめです」